ThinAppの有用性

VDI構築運用上、ThinAppは非常に有用性の高いソフトウェアです。

まず先にThinAppの制限事項を上げると以下の2点だけです。
1.デバイスを仮想化する機能は利用できない
 これは例えばHorizon ClientのUSBリダイレクションやいきなりPDFのような仮想プリ

ンタなどのソフトウェアは仮想化できませんが、これを逆手にとってセキュリティ上USBリダイレクションを明示的に禁止したい場合等にあえてThinApp化したり、インストールの手間がかかるvSphere ClientをThinApp化してPCを変更しても利用できるようにするという利用方法もあります。

2.各ThinAppのバージョンが対応していないOSでは稼働しない
 例えばWindows8.1までは対応していてもWindows10で実装された機能については利用できませんが、サポートはされませんがソフトウェアが稼働する場合も多々あります

3.サービスとして稼働するソフトウェアはThinApp化できない
 IISのようなものは不可ということです。ただし、Oracle ClientのようにODBCを利用するだけ物であれば利用可能です。

 

では、メリットに行きましょう。

1.VDIとFAT関係なく仮想化したパッケージが稼働します。(ただしFATは別途ライセンスが必要)
2.ThinApp化するソフトは移行前が32bitで移行先が64bitでも稼働可能
3.ThinApp化するソフトは移行先がクライアントOSではなくサーバOSでも稼働可能
  クライアントアプリをTerminalServiceのApp-Vで画面を提供する事が出来るということです。
4.実行OSにインストールされたソフトを利用することも可能
  例えば、ThinApp化したアプリがExcel APIを利用する場合などにExcelをThinApp化していなくても利用できる、という意味です。
5.ThinAppでパッケージ化したアプリはフォルダでそのままEXEとして展開することもインストーラを作成することも可能
 VDIテンプレートの作り方で記載したアプリを出来るだけインストールするような場合に、ZIP圧縮したフォルダで展開したりすることも含めて検討可能になるということです。
6.パラメータも併せて展開したいが、インストール後に手で設定しなければならないソフトウェアの設定作業がなくなる。
7.セキュリティグループやユーザアカウントで実行禁止設定が可能
 パッケージ作成時に設定することができますが、私は面倒なのでそこまでしていません。
8.ThinAppパッケージを展開するWindowsの設定に依存させることもさせないようにすることも可能
9.別にThinAppパッケージ化するソフトは1本ごとではない
 パッケージ作成時に例えば"Oracleだけ"、"AutoCADだけ"ということはありません。
 私の仕事場では基幹システム用アプリが『基幹用スクラッチアプリ』、『Oracle』、『他DWHソフト』『Office』といった形で『全てまとめて1パッケージ化』しています。
10.ThinAppパッケージ化すれば、同一ソフトを複数同時実行できる
 9.で紹介した基幹システムですが、社内にもう一つ基幹システムがあり同様に『基幹スクラッチアプリ』、『Oracle』、『その他アプリケーション』といった形でこちらもThinApp化しています。また、これらのThinAppパッケージは仮想させるWindows上ではOracle11gを利用していることと、各ThinApp化したパッケージがそれぞれ同時起動しても干渉しないように作成しています。